1_駅徒歩30分の新時代

先日、野暮用で実家に帰省して、そこからの帰り道での話です。

昼から始まった実家での用事も夕方になり、ひと段落したので、「さあ帰宅するぞ」と車を走らせていました。

周囲の景色はとても都会とは言えず、田んぼも目に入る様な道でした。
まだ完全に日は暮れてはいないものの、薄暗くなっていく道を走る中、ふと煌々と光る新時代が目に止まりました。

その新時代の駐車場はファミレスの如く大きく、近くに駅はありそうもないです。

いや、新時代ってゴリゴリの飲み屋だよな!?!?何でこんなど田舎にあるんや!?!?

って思いませんか?思いますよね知らんけど。

↓東京駅前とかによくある新時代(これは渋谷道玄坂店)

駅前・繁華街型の新時代 渋谷道玄坂店

如何にも大都会に存在してそうなギラギラした居酒屋の新時代ですが

こいつ、ここに存在しました(新時代 尾張旭店 駅徒歩30分)↓
新時代 尾張旭店周辺の地図

「なんやこの立地誰が使うんや、今にも潰れそうやな•••」

と思ったので調べてみたのですが、
実はこの新時代、割と昔から存在しており、リニューアルまでしたそこそこ売上の良さげな店舗らしいです。

なんだか黒字っぽそうですが、実際の売上・利益は非公開です。本記事では公開情報と仮定値から、「黒字になるには1日何人必要か」を試算します。実際の来客数や黒字を断定するものではありません。

いや、ほんまか???と

とにかく気になってきたので、素人ながらいくつかの観点で分析してみました。

その前に、みなさんにも予想してもらいたいです。

ちなみに席数は44席です。

答えは、統計の説明が終わった後に発表します。
果たして、駅徒歩30分の居酒屋には何人必要なのか……。

3_黒字になる人数を計算してみよう(損益分岐・感度分析)

では、ここから分析を始めていきたいと思います!

今回は、1日にどれくらいお客さんが入れば黒字になるのか。こちらを中心に分析したいと思います。また逆説的に考えると、黒字っぽそうな人気店舗である尾張旭店には、ここで求めた値以上のお客さんが入っているとも言えます。

「詳しい方法はどうでもいいから、さっさと結果だけ見たい」という方は、次のセクションに結果があります。

まずは、今回の分析で使用する売上を構成する指標から紹介します。

・変動費率

お客さんが食事をして3000円分支払っても、当然店はこの金額の満額が利益になる訳ではありません。注文した食事の原価やクレジットカードで払っているか否かなどで、実際の利益が決まります。

例えば1000円の売上に対して、食材費や決済手数料などが300円かかる場合、売上の30%が変動費になります。

変動費率とは、簡単に言えば売上が増えるほど一緒に増える経費が、売上の何%を占めるかを表したものです。

新時代の実際の原価率は非公開のため、日本政策金融公庫が示す『酒場・ビヤホール』の平均原価率33%を中央ケースとして採用して、

低コスト:30%
中央:33%

高コスト:36%

の3パターンで計算してみます。

本来は決済手数料なども変動費に含まれますが、詳しい内訳は非公開のため、今回は公開されている平均原価率を変動費率の目安として使用します。

例えば変動費率30%の場合、お客さんが1,000円のお会計をすると、固定費を差し引く前に700円が残ります。この700円が、固定費の回収と、その後の利益に回ります。

・固定費

一方、固定費とはどれくらい売上があるかにかかわらず、毎月ある程度発生する費用です。我々も節約を思い立つと、まず見直しがちなやつです。家賃を抑えたり、携帯代をケチったりしますよね。それです。
固定費の項目として今回は以下の表のようにしました。
新時代 尾張旭店の固定費を仮定した表

家賃は、尾張旭市の事業用店舗の募集坪単価と、44席規模の店舗面積を考慮して決定しています。
とはいえ、この固定費も実際にはズレがあるかもしれません。
さらに、これを実際の固定費だと断定しないため、変動費率の時と同様に。420万円を中央ケースとして、

低コスト:315万円
中央:420万円
高コスト:540万円

の3パターンで計算します。

この様に、断定できない数字を使って分析しなくてはならない際に、いくつかのパターンを使ってバッファを持たせた分析することを感度分析といいます。(変動比率でも感度分析を使います)

・客単価

客単価とは、1人のお客さんがお店で払う金額です。本来は人によってお店にいくら払うかはバラバラですが今回は、新時代のHot Pepperの掲載予算帯 2,001~3,000円 の中央付近として、2,500円/人 を分析値にします。

・損益分岐点

ここまで決定したらようやく、黒字化するのに必要な来客数(以下、損益分岐点とします)を求めることができます。
損益分岐点を考えるには、1人来店したときにいくら残るかと、毎月いくら固定費がかかるかの両方を見る必要があります。そんな訳で以下の式で導出できます。

損益分岐点とは、利益がちょうど0円になる来客数です。
ここでは式を見やすくするため、売上 = 来客数 × 客単価粗利率 = 1 - 変動費率とします。

利益=売上×粗利率固定費\text{利益} = \text{売上} \times \text{粗利率} - \text{固定費}

利益を0とすると、

0=売上×粗利率固定費0 = \text{売上} \times \text{粗利率} - \text{固定費}

したがって、

黒字来客数=固定費客単価×粗利率\text{黒字来客数} = \frac{\text{固定費}} {\text{客単価} \times \text{粗利率}}1日黒字=月固定費客単価×粗利率×営業日数\text{1日黒字} = \frac{\text{月固定費}} {\text{客単価} \times \text{粗利率} \times \text{営業日数}}

「1日黒字ライン」が、1日あたりの損益分岐来客数です。

黒字化するためには
利益 > 0 
となればいいので、
利益=0
となるための来客数を求めます。
要は、実際の来客数が損益分岐来客数を上回れば黒字です。

3_結果

そんなこんなで計算式も出たので、計算用にpythonのスクリプトをチャチャっと生成AIで作ったので結果をみてみましょう。

新時代 尾張旭店の損益分岐点を3ケースで試算した結果

試算上の黒字ラインは1日約60〜113人、中央ケースでは約84人となりました。
この結果から、低コストだったとしても、新時代尾張旭店が黒字であるならば、1日に平均して、毎日約60人以上が訪れていることになります。
金曜日の夜や土日などもあるので、実際には均して60人というわけでもなさそうですが…

尾張旭店の席数は44席であることを考えると、大体1日に1回転以上はしてそうですね。思ったより郊外の駅が遠い新時代でもお客さんは入るのですね。

4_名古屋と比較しよう

実際に尾張旭店の損益分岐点がわかったところで、如何にも固定費が高そうな、名古屋店の損益分岐点も分析して比較してみましょう。

売上を上げるためには、固定費・原価率など様々な重要な指標がありますが、今回は新時代同士の比較ですので、原価率は同じとみていいでしょう。

一方、固定費は大きな差がありますね。すぐにピンと来る方も多いかもしれません。土地代です。田舎と都会では固定費に大きく差があるので、ここは考慮しないといけないですね。

今回は固定費の算出方法は省略しますが一応根拠はあります。(筆者の体力)
名古屋の固定費を以下の表のように設定しました。
新時代 名古屋店の固定費を仮定した表

結果はこんな感じです。ちなみに席数は名古屋の方が圧倒的に多いです。
新時代 名古屋店の損益分岐点を3ケースで試算した結果

どうでしょうこれ人によって、「やっぱり名古屋は大変だなー」と感じる方もいらっしゃれば、「尾張旭意外と頑張ってるやんと思う方」までいると思います笑

3 : おわりに

どうでしょうか。このように分析して私としては、「意外と駅遠でも、新時代に行く人が多いな」と感じました。確かに新時代の伝串おいしいし、意外と行きたくなるんですかね!

ちなみに、Hot Pepper で来店シーンのグラフを調べてみたところ、ご家族で来店されいる方が多いみたいです
Hot Pepperに掲載された新時代 尾張旭店の来店シーン

どうやら、ファミレスとしての側面としての需要がありそうですね。

まだまだ分析できそうなところがたくさん残っていますし、ツッコミどころも残っていたりしますが、今回の記事はここまでとします。お読みくださいありがとうございました。

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